コイアイ〜幸せ〜
私の意見は無視!
そしてセクハラ!


なんて思いつつ、今までにはない強引さに身体が固まってしまう。


一瞬、唇を離したかと思ったら、松本さんは髪の毛を掴みながら私を上向きにさせる。
そのまま立ち上がった松本さんに、再び唇を奪われた。


デスクを挟んだ、激しいキス。


戸惑う私にかまわずに、それは続いた。


「ふっ、…ぅん…、っ」


言葉にならない声が、あえぎ声のように自分の耳に届く。
それが悔しい。


この男、キスが上手いんだ…。


私の抵抗なんて、抵抗にもならない。
その圧倒的な激しさに、私は、ただただのみこまれていくしかなかった…。




どのくらいされていたんだろう。

唇が離れた頃には、衝撃と息苦しさでぐったりとしていた。


「はっぁ…、な…んで…」


私はかすかな声を搾り出そうとして、この男に支えられている状態から自分で立とうとする。


「もう少し、そのままでお願いします」



なのに松本さんは、耳元で愛を囁くように密やかに、私に囁いた。



私の心は動揺しっぱなしだ。






「どうぞ、お入り下さい」


その時、松本さんは、扉に向かって一際大きく、声を出した。

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