コイアイ〜幸せ〜
「す、鈴木さん?」


「絶対に、私の方が頭がいいはずなの。あの人は私を見捨てたかもしれないけれど、それは、貴方が悪いから」


完全に逆恨みよね、これ。

「鈴木さんは、確かに頭がいいと思います。だけど、やっぱり間違っています」

私は、出来るだけ穏やかに、鈴木さんを諭すように話しかけた。


「鈴木さんは凄い、私には出来ないことです。だけどね、駄目なんです。アレは仕事じゃないんですよ、ただ、能力を示しただけ。社会人がすることではありません」


彼女は、鼻でせせら笑う。


「私は、あの人に見て欲しかっただけ。このことがバレたって、アイツに罪を全て被ってもらうつもりだったのよ、上手くやれる自信があった。……貴方だってそうでしょう?気に入られたいから仕事を続けているんでしょ?」


少し色気が漂う声色で、彼女は答えた。


ふるふると首を横に振る。

「顔にだって自信があったの。貴方が先に出会わなければ、今、あの人の隣にいるのは私だわ」



やっぱり私は、首を横に振った。


「勘違いだと思います。私は、ただ、仕事をしているだけ。気に入られるとか、そういうのじゃなくて…」



「馬鹿じゃないの」



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