コイアイ〜幸せ〜
私の言葉は、途中でさえぎられた。


「本当に馬鹿ね、貴方って!じゃあ、なんで貴方は傍にいるの。知ってるわよ、貴方、早見チーフに好かれているんですってね、なのにその気持ちを受け入れないで、あの人の傍にいるのはなぜ?言葉ではなんとも言えるのに行動がともなっていないじゃない」


私の心がズキリと痛んだ。

確かに、私は仕事が好きで、今の仕事に誇りを持っている。
だけど最近は、いろいろと心が乱されることが多くて、私にもわからないことがたくさんありすぎて…。


―――やめて、私の心に踏み込んでこないで。


遠くのほうで、もう一人の私が叫んでいた。


「違う!」



「偽善者の、いき遅れの女になにを言われても意味かないわ。少し綺麗だからっていい気になって、早見チーフも馬鹿な女に振り回されて可哀想」


「違う、違うの!」


今、私は傷つけられている。

今までの、全てのことが否定されている。


それは、ライバル社の社長に襲われている時よりも恐ろかった。


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