コイアイ〜幸せ〜
なんかもう、私の心はズタズタだ。


この人が私を傷つけようとしているのなら、大成功しているんだと思う。


自分にさえわからない気持ちを、私は、この人にぶつけることなんて出来ない。



…だけど、一つだけわかることがあった。



「私がいてもいなくても、松本さんは、貴方を選ばないわ」


それは、確信に彼女を傷つけたと思う。


一瞬、彼女の顔が歪む。

そして、一気に距離を縮められた。

すぐ目の前には、彼女の顔。


「それが本性?負け犬に勝利宣言ってわけ?」


違う。
多分、松本さんに、勝ちとか負けるとか、そんなことは通用しない。
けれど、こんな騒ぎを起こした人を許すほど優しくない。
ましてや好き嫌いの感情では動かない人だから。


私は、彼女に飲み込まれないように、しっかりと彼女を見つめ返した。




「そうねぇ、ちょうどここに熱湯があるじゃない」


そう言うと、彼女は私から視線をそらさずに、給湯口の蛇口をゆっくりとひねる。


私の背後から、熱湯の湯気と熱気が立ち登った…。


何か入れ物に、熱湯が溜まっていく音が聞こえる。


「その綺麗な顔がなくなっても、貴方は同じ事が言えるかしら」
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