コイアイ〜幸せ〜
彼女の顔が、残酷な笑顔に彩られた。


まるで、ものすごく素敵なことを思いついた少女のようなあどけなさ。


あ、駄目だ。
彼女は、常識を飛び越えてしまっている。


「クスクス。ねぇ、怖いでしょ、逃げたいでしょ」


逃げたいけれど私の腕は、いつの間にか押さえつけられていて、今暴れてしまえば、私にも彼女にも、熱湯が掛ってしまう可能性があった。


そして、怖いけれど、正直ムカついている自分がいたんだ。


「鈴木さん、やりたければどうぞ。そんなことで、私は変わらない」


そして、ひと呼吸、ゆっくりと息を吸い込んだ。


「逆恨みするなっ!自分の責任くらい、自分で取れっ!」


自分で起こした事の重大さに押し潰されて、こんなことになってしまった彼女の心に怒鳴った。


本当は、平手の一つでもつけてあげたい。


少しでも彼女の心に届くように。


あ、でも、逆上して熱湯掛けられてしまうよね。


ごめんなさい、黙ってられなかったの。
傷物になる私を許して下さい、お母さん、…宗助。


上手くいけば、美容整形で生きていきます。





慰謝料ふんだくってやるっ。
私は、ギュッと目をつぶった。

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