コイアイ〜幸せ〜
狭い給湯室に、流水の音だけが響く。


「あの、…宗助、怒ってる?」


なんだかその沈黙が怖くて、恐る恐る問いかけてみた。


「なんでそんな事を言うんだ?」



…………やばい、怒ってる…。


「そ、それは、ホラ、宗助には迷惑をかけているんだし」


しどろもどろに濁していると、宗助は、ひときわ低い声で言った。


「なんでつららは怒らないんだ?あの時も、今回も、元の原因はアイツなんだぞ」


んっ?
矛先が変わってないですか?宗助。


私は、首を捻って考えてみる。


そうだよね、元々の原因はあの悪魔かもしれないっていうか、悪魔のせいなんだけど、何の下準備も無く足を踏み入れた私が馬鹿だったんだし、彼女の歪んでしまったプライドはいつか表に出てくるんだろう、今回はきっかけに過ぎなかったんだ。


「そりゃかなりムカつきますけどね、会社を動かすような人だもん、恨みや嫉妬はあると思ってる。それは、近くの私に向けられることだってある。それを払いのけるのも、私の仕事だと思ってるから」


仕事の縛りがない私の、考えた、私の結論。


「そっか…、俺は怒っているのかもしれないな」


「つららを守れない俺に」
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