コイアイ〜幸せ〜
だって、目が覚めて暴れられたら嫌なんだもん。


「これは正当防衛だからね。とりあえずこの一件は、松本さんに報告しておこうと思うの。後のことはあの悪魔に任せよう」


鈴木さんには悪いと思うんだけど。


「つららは、本当にそれでいいんだな」


宗助が、真面目な顔で言う。


彼女の今後のことは、私には、どうすることも出来ないから。


「つららがそれで納得するんなら、俺もそれでいい。裏に車を回しておくから、早く来いよ」


宗助が、私の頭を優しく撫でる。


「そんな、いいよ。私を子供扱いしないで」


その手をそっと払い退けた。


「つらら、お前なぁ」


宗助は、心底呆れたようにため息をついた。


「しっかりしているつもりでも、相当危なっかしいんだよ。いいから送らせろ」


ガツンと頭を殴られた。

撫でておいて殴るって。
地味に痛い。




十代の女の子なら、ドジっ子だって可愛いさ。
でも29歳の女でそれはどうなのよ。
危なっかしいなんて言われたって、嬉しくなんかないでしょ。


「わかったわかった、そんなに睨むな。じゃあ、デートの続きだ、きちんと家まで送らせてくれ」


宗助は、私に甘いよ。
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