コイアイ〜幸せ〜
「そうか…」


宗助はそれだけ言うと、まじまじとティーカップを眺めている。


「やっぱり、そんなに不細工?」


そんなに眺めたって絵柄は変わらないってば。
新手の嫌がらせか、早く飲めばいいのに。


すると、宗助は急に、私に向かって少年のようなとびきりの笑顔を見せた。


「いや、すげぇ可愛い」


それは、なんだか私自身にむけて言われているようで、私は何も言えなくなる。





なんか反則的な笑顔でしょ。


まてまて、相手は宗助。
いくら好意を持たれているからって、私、反応し過ぎだから。


私、おかしいのかな。
少し、心臓がドキドキいっていますよ。




けれど今、もう一人の冷静な私がささやいてくる。


―――社内恋愛は好きじゃなんでしょう?


噂だって広まりやすいし、こじれたり幻滅されたりしたら、働きづらくなってしまうから。





ここは、大人の態度を持って上手く受けなが………せない相手かも。


長く付き合っているからわかる。


きっと嘘や上辺だけの言葉は、宗助を傷つけるだけなんだ。




だから私は、ゆっくりと宗助と向き合った。


それは、自分の心をさらす勇気が必要だった。
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