コイアイ〜幸せ〜
「そういえば例の件ですけれど、鈴木さんはどうなったんでしょうか」


仕事中、私はふと手を止めて松本さんに話しかける。


「えぇ、その事については処理が済みました。山下さんは詳細が知りたいのですか?」


彼女の協力者は、遠く熊本の支店とも呼べない程の小さな会社に飛ばされてしまったし、鈴木さんは依願退職という形で、今、この会社にはいない。


たとえ逆恨みだったとしても、彼女がまだ私を恨んでいるとしたら、姿が見えないのは、逆に怖い。


それに、私だけじゃなくて松本さんにも迷惑がかかってしまう可能性だってあるかもしれない。


「い、いちよう私も当事者なので、できるなら知っておきたいです」


まさか、待ち伏せされるなんて思ってもみなかったし、あのあと彼女は警備員に連れて行かれてしまったって宗助に聞いていたから。


「心配、ですか?」


そりゃ、心配しない方が無理ってものでしょう。


「はい」


私が素直に返事を返すと、彼は笑顔を浮かべている。

うん、けっして爽やかではないところが松本さんらしいですね。


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