コイアイ〜幸せ〜
「心配しなくても大丈夫ですよ。…二度と俺たちに関わりたくないように、手は打ってありますから」


怖っ。


個人的には聞きたくない。
けど、聞いておきたい、今後の為に。


「彼女には長く入院している母親がいましたよね、そして借金もありました。なので、その借金を肩代わりさせていただきました。もちろん、俺たちの視界に触れるような事があれば、それなりに…ね。山下さん以上の恐ろしさが体験出来ると思いますよ」


悪魔がクスリと笑う。


うっわぁ、優しさにみせかけて完全に人質じゃないですか。


でも、自分を好きになってくれた人だよ。
どうしてそんなことまで出来てしまうのだろう。



「松本さんは、そういう人でしたね」


「軽蔑…しましたか?」


目を細めて、松本さんは私をうかがっている。



いいえ。
自分や周りを守るためなんだもの。


でも、それは、少し寂しい気がしてしまいます。



「貴方なら、わかっていただけると思っていましたよ」


私の気持ちを読み取ったのか、ため息混じりに言葉を吐き出す。


「考えが、甘くなりましたね?いったい、誰の影響なんでしょうね」


それは、どういう意味?


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