コイアイ〜幸せ〜
「情けをかけていては、会社は潰れます。特に、恋愛感情は脆い。俺はそう思っていますよ」


え、でも、それは。


「まぁいいでしょう。山下さんを責めるつもりはありません」


「でも、私は、松本さんに助けてもらっていますよ?早見チーフにだって…。それは、少しでも感情が絡んでいるからではないんですか?」


雰囲気が、なんとなく責められているような気がして、私や宗助の心が否定されているような気がして、慌てて彼に言葉を返す。



「愛情は脆いですよ?貴方を助けるのは、利益があるからです」


そう言いながら、松本さんは私に近づいてきた。


「これは牽制のつもりですか?こざかしいですね」


そして、私の首筋に人差し指をそっと這わす。


あまりにも自然で、私は抵抗をする意思を忘れてしまった。


「俺には逆効果です」


痛いっ。


指を這わしたその場所に、彼は唇を押し付ける。
そして、強く吸われた。



「綺麗な内出血ですよ?」


隠していた首元、そこには、宗助に付けられたキスマークがあったのに。


首から離れた彼の顔は、それは妖艶で…、唇をペロリと舐める仕草に、私の頭はくらりとした。


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