コイアイ〜幸せ〜
「松本さん、お仕事の方は順調なんですかぁ」
精一杯に無邪気なふりをして、松本さんに話しかけた。
「えぇ、順調ですよ?そんな事よりも、市田さん、髪に枯れ葉がくっついていますよ。取って差し上げましょうか」
彼は、そう言ってカタンと席を立つと、座っている私の髪に軽く触れた。
あぁ、近くに感じる松本さんの気配は、やっぱり私を緊張させる。
恥ずかしさのあまり、ギュッと目を閉じてしまうしかなかった。
「取れましたよ。貴方の髪は、ふわふわしていて気持ちがいいですね」
褒められるのは嬉しい。
気合いを入れてきて良かった。
この人は、女の子が聞いて嬉しい言葉を言ってくれる。
一生懸命に選んだ洋服やバッグに、必ずといっていいほど気がついてくれるんだ。
けれど、聞いて欲しくないことは、サラリと受け流す。
今だって、聞いてみたかったのに、そんな事よりもって綺麗に流されてしまった。
だから私も、知らない顔をして会話を続ける。
山下さんが執務室からいなくなったのを、知ってはいたけれど…。
精一杯に無邪気なふりをして、松本さんに話しかけた。
「えぇ、順調ですよ?そんな事よりも、市田さん、髪に枯れ葉がくっついていますよ。取って差し上げましょうか」
彼は、そう言ってカタンと席を立つと、座っている私の髪に軽く触れた。
あぁ、近くに感じる松本さんの気配は、やっぱり私を緊張させる。
恥ずかしさのあまり、ギュッと目を閉じてしまうしかなかった。
「取れましたよ。貴方の髪は、ふわふわしていて気持ちがいいですね」
褒められるのは嬉しい。
気合いを入れてきて良かった。
この人は、女の子が聞いて嬉しい言葉を言ってくれる。
一生懸命に選んだ洋服やバッグに、必ずといっていいほど気がついてくれるんだ。
けれど、聞いて欲しくないことは、サラリと受け流す。
今だって、聞いてみたかったのに、そんな事よりもって綺麗に流されてしまった。
だから私も、知らない顔をして会話を続ける。
山下さんが執務室からいなくなったのを、知ってはいたけれど…。