コイアイ〜幸せ〜
背中を叩かれたときに、気付かれたのかな。


料理をしている途中で、やけに胸がすうすうしているなって思ったんだよね。
でも、バレなければいいかと思っていたんだけどさ。


「バレてましたか」


「バレバレだ、まったく」


はぁ〜。


宗助がため息をついている。


「いいじゃん、別に。自分の部屋なんだから」


私は、ぶぅっと膨れてみた。


気を許しているのかな、宗助といると、時々だけど、子供っぽい自分が出てきてしまうんだ。


「彼氏の苦労が目に見える」


宗助は、ガシガシと頭を掻いている。


「そのことなんだけどね、私、彼氏と別れたちゃったのよ」


……。

………。


なに、この沈黙。


「今、可哀想な女とか思ってるでしょ」


……。


「もしくは、元カレに同情してるとか?」


もう、なんか言ってよ。


「…そう、か」


一言だけかいっ!


「なんで宗助がショックを受けてんの。泣きたいのは私の方よ。あっ、理由は聞かないでね、まだ自分の中で整理がついていないんだから」


溜めているよりも、誰かに話した方がすっきりすると思ったのに。


どうして私が焦ってるんだろう。


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