コイアイ〜幸せ〜
「慰めの言葉なんかいらないからねっ」


「嫌いになって別れたわけじゃないのに、泣けないの。私、こんなに冷たい人間だったのかなって」


しゃべり始めると、どんどん言葉が口からこぼれ落ちる。


「まだ好きで、好きで、ああすれば良かったのかな、もっと大切にすれば良かったのかなって。でもね、根本的な所が違うから、違うって気がついちゃったから」


「終らせたのは、逃げたのは、私。きちんと彼と向き合っていなかった」


下を向きながら、延々と話し続ける。


止めようとしても駄目みたいだ。




「わかった。もういいから、泣け。我慢するな」



それまで、ずっと黙っていた宗助が、私に顔を上げさせた。


凄く真剣な眼差し。
こんな宗助、初めて見た。



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