コイアイ〜幸せ〜
「口が開いてます。綺麗な顔が台無しですよ」


いや、あなたに言われたくはありません。


「貴方の性格なら、チームから外されてさぞ悔しかったでしょうね」


なっ、わざとなんですか!


それでも、なんとか叫びたい気持ちを堪えて前を見る。


「ええ、とっても」


精一杯睨みつけて返事をしてみた。


「私には、松本さんの考えていることがわかりません。途中で手がけていたものから外されることは、私にとって屈辱以外ありませんから。しかも責任者が責任を途中で放り出せば、全体のチームワークが崩れます。なんの利益もありません」


出来るだけ、感情を抑えて言葉にしてみる。


本当なら、平手打ちの一つ位は浴びせたいところだ。

ちっ、上司じゃなかったらなぁ。



けれど私の、上司に対しての反抗的な言葉も、彼はサラリと受け流している。


「まぁ、正論ですね」


余計に悔しいっ。


「山下チーフは先ほど、俺の考えていることがわからないって言ってましたね」


ええ、全然わかりません。


「そこで今日の本題、貴方を俺の直属の部下に昇格しますね。これは上司命令ですよ」


…ますますわかんないんですけど。

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