コイアイ〜幸せ〜
「会社の利益にはなります。けれど、貴方の利益にはなりません」


はっきりと伝える私に、彼は興味を引かれたようだ。


「へぇ〜、それは、なぜ?」


「あの男は、私達のような会社を吸収してのし上がっていく人です。ただ、利用されるだけの人ではないですから、…今回をきっかけにして、こちらにちょっかいをかけて来ると思います」


これは、私の分析だ。
知名度はあるから会社の宣伝にはなるだろうけど、彼が上に立つのであれば、邪魔な存在になると思った。


「面白いことを言うね」


さて、もうひとつ、…私が考えていることを言ってみるか。


「私に秘書を頼んだと言うからには、行動スケジュールやアポイントメントの管理をさせてもらいます。松本さん、貴方の交友関係を全て、教えて下さい。…もちろん、裏の繋がりもお願いします」


何をしても、口を挟まない。


それをいいことに私は、彼の関係者リストを作ろうといろいろ調べてみた。
だけど、調べていくうちに、どうしても繋がらない人物やデータにない交友関係にぶつかっていたんだ。


「質問には、答えていただけるんですよね?」


私は、にっこりと微笑んでみた。


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