コイアイ〜幸せ〜
リライズ・コーポレーションは、簡単にいってしまえば、人材派遣会社みたいなものだ。

取引先はそれぞれだけど、登録して利用する人も、この会社のスタッフも、平均年齢は決して高くはないのがうちの特徴と言える。

それにしたって若いトップだわ。
推測なんだけど、役職がどうあれ、現場の決定権を持っているのは彼なんじゃないかなと思うと、ホント、有能な人は若くして有能なんだと、つくづく感心する。



「…今回は、この案でいきたいと思います」


固唾を飲んで見守っていると、彼はスゥっと目を細めた。


「君にまかせたのはいい選択だったよ。けれど、実践に移す人選は?それに、その後に出てくるであろう、相手方の不安を解消する方法は万全と言えるのでしょうか?」




…ほら、キタ。



柔らかい口調で、私も薄々気づいていた問題点をズバズバと的確に突いてくる。

的確過ぎて、逆に気持ちがいいくらいだ。




「次回の会議までに、全ての解決策を出しておいて」


出来ないとは言わせない存在感。




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