コイアイ〜幸せ〜
「…わかりました。では、失礼します」


とりあえずの中間報告が終わり、私が退室をしようとしたその時、


「ああ、山下さん、その唇は痛々しいですね。無防備に、虫にでも刺されたのですか?」


彼の声が聞こえた。

もう一度彼のほうを見ると、その顔には笑みが浮かんでいる。


――ペンの痕、付いてたんだ!


しかもバカにされてる気がする!



「失礼しましたっ!!」


急に恥ずかしくなる。
彼が上司だということも忘れ、勢いよく扉を開けて部屋を出てきてしまった。






嫌なヤツ。
やっぱり苦手だっ。

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