抱きしめたい

「その間はエレナは何をしてるんだ?」

「私は盗みはやった事がないので、この町の果物屋で働かせて貰ってるんです。兄様と兄妹だとバレると働き口がなくなってしまうから兄様の事は店の主人には言ってませんけど…」

エレナは自嘲するような、寂しそうな表情をしながらそう言った。エレナはリュークのことをすごく慕っている。きっとそんな事までして自分を守ってくれる兄を周りに認めて欲しい気持ちと自分の不甲斐なさがそんな顔をさせているのだろう。

そんな健気で優しいなエレナを私は支えてあげたいと思った。

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