はじめて。
「なに探してんの?」
「あ、けんと。おはよー。あたしの恋バナ聞きたい?」
この男は、あたしの幼なじみ、けんちゃんこと山咲剣人(やまざきけんと)。まあ、けんちゃんって呼んでるのは、お母様方とかとあたしだけなんだよね。ちっちゃい頃からずっとけんちゃんって呼んでるから、そのまんま。同じクラスなんだ。
ちなみに、あたしにはけんちゃんのほかにもうひとり幼なじみがいる。
山咲直紀(やまざきなおき)っていうんだけど、なおくん・・・・・いやいや、なおきは、違うクラス。あたしたちは、3年1組で、直紀は8組だからぜんぜん会わないし。しかも、なんでか中学に入ってから直紀とはぜんぜんしゃべったりしなくなったんだよね。
「・・・ぜんぜん答えになってねーじゃん。」
「あのね、あのね実は・・・。」
まるちゃんスイッチはいっちゃった・・・・。茶髪の王子様について熱く語り始めちゃった。
「・・・ななみ、結局丸井はなに探してんの?」
「いま熱く語ってる茶髪の王子様。」
「は?東校のやつはおわったのか?」
「ああ、滝川くんのこと?それはもう終わったみたい。」
「あいかわらず、ころころ変わんだな。」
なんだかんだしてたら、あっとゆー間に放課後。
「なな、あず。校門とこで茶髪の王子様探すの付き合ってね。」
そういって、まるちゃんはダッシュで校門に向かって行った。