CORRUPTION
(マダム)「………ま、助けてやらんこともない。」

(弘樹)「え………」

マダムは突然救いの言葉を言い出した。

(マダム)「さっきのグズと違ってあんたは何か失態をおかしたわけじゃない。あんたは言ってしまえばたまたま変なバーに入ったお客さんだ、丁重におもてなしてもとくに問題はない。」

弘樹はマダムの救いの言葉に涙を浮かべていた。

(マダム)「だけどこのままあんたを帰らせたら問題になっちまう。そうなったらアタシはあんたの後始末をしなきゃいけなくなる。この意味がわかるかい?」

弘樹は少し考えたが、自分が殺されなくてすむという考えしか頭に出なかった。

それほど安堵していたのだ。この後のマダムの言葉を予想することなく………

(マダム)「どうやら意味がわかっていないようだね。あんたは今闇の中にいることを忘れてないかい?」

その言葉に弘樹はさっきまでの安堵感をなくし、恐怖が蘇った。

(マダム)「そう!!あんたは今闇の中にいる。そしてそんな闇の中であんたは助かるかもしれない状況。ここまで言えばアタシが何を言いたいかわかるね?」

弘樹が恐怖に震える中、マダムはニヤけてこう言った。

(マダム)「あんたが闇の住人になればいいのさ。」
< 19 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop