CORRUPTION
(弘樹)「こ、殺し屋!?」

(マダム)「そうさ。闇の住人になるならそれが一番手っ取り早い。殺し屋は基本どこにも所属する必要がないからね。ちょうどついさっき欠員が出たとこだしね。」

マダムは横たわる通り魔の死体を見て言った。

(弘樹)「こ、殺しって犯罪じゃないか………」

(マダム)「裏社会じゃ表の法律は一切通用しないよ。現にアタシはこうして日本に拳銃を持ち込んでるじゃないか。」

(弘樹)「あ………」

(マダム)「てことさ。裏社会には犯罪なんて概念はない。裏社会なら殺し屋だって普通に成立するのさ。」

(弘樹)「そ、そんな………人を殺すことが………」

(マダム)「別に人に限ったことじゃないが大抵は人だろね。フリーの殺し屋なら尚更だ。」

(弘樹)「…………」

(マダム)「さぁ、殺し屋になるかどうか早く決めな。」

マダムは弘樹にそう言い放った。

弘樹は頭の中で葛藤していた。

自身の正義感は人殺しは絶対に許されない悪だと叫ぶ。

だがこの申し出を断れば即刻撃ち殺されることは明白であった。

正義のために死ぬか、自分のために生きるか。

弘樹はそんな理不尽な選択を迫られていることを肌で感じていた………
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