CORRUPTION
(マダム)「………そろそろ気がすんだかい?」

(弘樹)「う、う………」

(マダム)「現実を見な。今やお前は闇の住人なんだ。闇の中じゃ涙なんか何よりも無意味だよ。」

(弘樹)「…………」

(マダム)「それに生きたいと思うのは生物として当然備わっている本能だ。そんなに自分を責めることはないんじゃないかい?」

(弘樹)「…………」

弘樹は涙を流しながら完全に黙りこくっていた。すると………

(蛇眼のジョニー)「マダム。やはりこの男に殺し屋は無理だ。ここで始末した方が………」

ゾクッ………

(弘樹)「!!」

蛇眼のジョニーが弘樹の殺害を提案し、弘樹はその言葉にまた恐怖を感じだした。

(マダム)「男が涙を流しながら下した決断をそんな粗末に扱うんじゃないよ。こいつは殺し屋になると決めたんだ。だったらアタシはこいつを絶対に殺さない。」

(蛇眼のジョニー)「そうか………」

弘樹はその言葉に少し安堵した。

(マダム)「あんたも闇の住人になったんだから変な正義感は捨てちまいな。闇の中じゃ自分1人で生き続けることを考えなきゃやってけないよ。」

(弘樹)「………」

先程の安堵も相まって弘樹の涙はいつの間にか止まっていた。
< 24 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop