CORRUPTION
そして通り魔は赤いフードのパーカーを脱ぎ捨て、そのまま近くの服屋にいって安いジーパンを買い、それに履き替えてから元々あったズボンを捨てた。

(通り魔)「これでもうさっきの面影はない。さっきの奴にも顔はバレてないはずだからこのまま大通りを通ってあそこに戻れば終わりだ。」

通り魔は呼吸を整えてから路地裏を抜け、堂々と大通りを渡る。

その頃弘樹は宛もなく大通りを走って通り魔を闇雲に探していた。

(弘樹)「はぁ、はぁ、はぁ………」

タタタタタッタッタッ………

弘樹は疲れて歩き出し、ついには足を止めてしまった。

(弘樹)「はぁ、はぁ、はぁ………」

弘樹が疲れて立ち止まっていると、弘樹の前方から先程の通り魔が歩いてきた。

(通り魔)「………(さっきの野郎だ。でもここで反応しちゃダメだ。あくまで他人とのすれ違い、顔を見合わせても不自然だ………)」

そして通り魔は前を見て堂々と弘樹の横を通る。

弘樹は横にいる人間が通り魔とは気付かずに立ち尽くしたまま、何事もなく横を通りすぎた。

(通り魔)「………(気付かれてない!!失態をおかしたがもう大丈夫だ!!じゃあな!!)」

通り魔は心の中で弘樹を嘲笑いながら去っていった。
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