gangな恋
良かった――
目の前の暖かな光景に、思わず顔が緩む―――
「あのっありがとうございました!ほらっ…明斗も」
「おねえちゃんおにいちゃん、ありがとうございました」
「クス…どういたしまして。もう迷子になっちゃ駄目だよ?」
「うんっ!」
私と和弥に見送られて、明斗君は両親と去っていった。
「なんか…逆に申し訳なかったな」
「そうだな」
何が申し訳なかったのかというと、私の手に握られたチケット。
観覧車と展望室の入場チケットなんだけど―――
展望室のチケットはなかなか手に入らない。
今日の夜は花火が上がるらしく、きっと親子揃って展望室に行く予定だっただろうに……