gangな恋


「凜」


「…ん?出発しねーの?」




私はもう準備出来てるのに、和弥はバイクに跨がらずに振り返って―――




「これ。凜にプレゼント」


「…え?」




キョトンとする私に、ラッピングされた紙袋を渡した。


プレゼントって……


なんで?


和弥から貰う理由がないんだけど。




「開けてみ?」


「あっああ。……………これ…って」


「貸して」




促されるまま袋を開くと、出てきたのはマフラー。


暖色でチェック柄のマフラーは、地味でも派手でもなく、可愛らしい物だった。


私から受け取った和弥は、私の首周りにそっとマフラーを巻いた。




「暖かい……」


「クスっ良かった。じゃ、行くぞ」




今度こそ和弥はバイクに跨がって、私達は出発した。


まだ驚いたままの私だけど、首元は全然寒くなかった。

< 224 / 367 >

この作品をシェア

pagetop