gangな恋
「凜」
「…ん?出発しねーの?」
私はもう準備出来てるのに、和弥はバイクに跨がらずに振り返って―――
「これ。凜にプレゼント」
「…え?」
キョトンとする私に、ラッピングされた紙袋を渡した。
プレゼントって……
なんで?
和弥から貰う理由がないんだけど。
「開けてみ?」
「あっああ。……………これ…って」
「貸して」
促されるまま袋を開くと、出てきたのはマフラー。
暖色でチェック柄のマフラーは、地味でも派手でもなく、可愛らしい物だった。
私から受け取った和弥は、私の首周りにそっとマフラーを巻いた。
「暖かい……」
「クスっ良かった。じゃ、行くぞ」
今度こそ和弥はバイクに跨がって、私達は出発した。
まだ驚いたままの私だけど、首元は全然寒くなかった。