gangな恋


「逃げずに来な」とだけ言い残して、赤い特服女は私達の前から去っていった。




「………」


「………」




和弥も私も何も喋らず、その場に立ち尽くす。




長くて、重い――


気まずい沈黙が流れる。




見られたくねぇとこ見られちまったな……





「何か…悪かった、な……せっかく…みんなで楽しんだのに」




何を話していいのか分からずに、私はぽつりぽつりと口を開いた。




「………」


「凜………」


「ん?」


「行くのか?」




私に問い掛ける和弥の顔は、なんだかとても切ない表情に見えた。




―――“行くな”


和弥はそう言いたいんだと思う。




でも和弥に引き止められたとこで、私が納得するわけがない。


それに和弥が口を出す用件でもない。




「………行くよ」


「ん…そっか」




だからってそんな表情されたら、私も戸惑うじゃねーか。

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