gangな恋
私は一人で乗り込むつもりだった。
冷静さを無くしたままの私だったら、きっと夏帆にも言い出さなかったと思う。
多分…和弥がいてくれたから、素直に皆に頼ろうと思えたんだ。
「来てくれてありがとう…」
「バカ。なぁに当たり前の事言ってんのよ!」
「そーですよ!礼なんて必要ないですっ!」
幸せ者だな、私。
こんなに素敵な仲間がいるんだ。
「クスっ、じゃあ行こうか」
この扉の向こうに司がいる。
ふうっと深呼吸しながら、私はゆっくりと扉を開けた。
建物の中は煙たくて、気味悪い感じ。
目の前には、あの時と同じようにカラフルな特服の集団。
そして―――
「よぉ、久しぶりだな。リン」
その中心に司がいた。