gangな恋
私だって一年近く、亜由美から逃げてた。
忘れてたわけじゃない。
ただ、弱かったから。
「……もっと殴りたいし、お前の人生だってめちゃくちゃにしてやりたい」
「………」
「でも、そんなことしても亜由美は悲しむだけだ。私は…………亜由美が許すと言えば、私も許す」
「………」
私は司の目を真っすぐに見つめた。
司も私から目を逸らさなかった。
もし目を逸らしたなら、こいつの心には響かなかっただろう。
でも司は逸らさなかった。
だから、人の痛みが分かる奴になるかもしれない―――
そう思った。
「ふっ……いい目持ってんじゃん」
そう言って、胸倉から手を離した時だった。
「凜!!」