雨音色
「お嬢様」


外は再び、たくさんの雨が降っていた。


少し濡れた肩を手拭いで軽くぬぐい、タマは幸花の部屋の前に来ていた。


「お嬢様、お話があります」


ドアを軽く叩く。


返事は無い。


もう一度叩く。


今度は、もっと強く。


しかし、また返事は無い。


「お嬢様?」


タマがドアを開けた。


部屋は真っ暗であった。


タマはベッドの側に近寄る。


しかし、そこに彼女の姿は無い。


「・・・幸花お嬢様?どこに行かれ・・・」


ふ、と目の端に紙片が写る。


机の上に、1枚の紙が置かれていた。


彼女はそれを手に取った。


「・・・さ、幸花お嬢様!!」


タマの叫び声が、屋敷中に響き渡った。
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