雨音色
「・・・」
眉間にしわを寄せて、目を閉じている牧に、おずおずと藤木が声をかけた。
「・・・あの、先生・・・?」
すると突然、目を覚ましたかのように、目を開け、
独り言をつぶやくように、牧は言った。
「血は争えないんだな」
ちら、と牧は藤木の隣に座る母の顔を見た。
いたずらっぽく笑う瞳。
大きなため息を、つかずにはいられなかった。
「・・・とりあえず、今夜は遅い。・・・明日、また来る」
そう言いはなって、牧は立ち上がった。
「先生、遅いのでお泊りになっては?」
母が、急いで牧を止めたが。
「いや・・・。結構。今日は帰ります。車は外に待たせてありますので」
被っていた帽子を持って、牧は早足で玄関へと向かう。
2人は急いで後を追った。