雨音色
終わりの始まり
次の日の朝早く、3人は食卓を囲んでいた。
言葉少ないその場は、ただ食器がぶつかる音だけが響く。
「・・・ごちそうさまです」
幸花は立ち上がり、迷いつつも台所へと自分の使った茶碗を持っていく。
「良いわよ。流し台に置いたままで」
「はい」
いつもと同じ、質素な食事だった。
めざしに、つけもの、味噌汁にご飯。
彼女からすれば、生まれて初めて食べる朝食であっただろう。
しかし、彼女は驚きの表情一つ見せず、ただ黙々と食事をしただけだった。
「壮介も早く食べ終わって、支度しなさいね。
・・・昼過ぎには着くと良いけど」
母も自分の食器を片づけながら、彼にそう促した。
彼は黙ったままうなずくと、ゆっくりとご飯を飲み込む。
今日は一段と、ご飯が喉に通らなかった。
箸を持つその手はいつも以上にゆっくりであった。
母もその事には気がついていた。
そして、その理由も、分かっていた。
言葉少ないその場は、ただ食器がぶつかる音だけが響く。
「・・・ごちそうさまです」
幸花は立ち上がり、迷いつつも台所へと自分の使った茶碗を持っていく。
「良いわよ。流し台に置いたままで」
「はい」
いつもと同じ、質素な食事だった。
めざしに、つけもの、味噌汁にご飯。
彼女からすれば、生まれて初めて食べる朝食であっただろう。
しかし、彼女は驚きの表情一つ見せず、ただ黙々と食事をしただけだった。
「壮介も早く食べ終わって、支度しなさいね。
・・・昼過ぎには着くと良いけど」
母も自分の食器を片づけながら、彼にそう促した。
彼は黙ったままうなずくと、ゆっくりとご飯を飲み込む。
今日は一段と、ご飯が喉に通らなかった。
箸を持つその手はいつも以上にゆっくりであった。
母もその事には気がついていた。
そして、その理由も、分かっていた。