雨音色
玄関を出て、道路へとつながる石畳の階段を下りる。
「・・・歩いていきますが・・・大丈夫ですか?」
恐る恐る尋ねる藤木に、幸花は、少しはにかんで答えた。
「えぇ。私を誰だと思っているのですか?」
「・・・そうでしたね」
そんな会話を交わしながら、
草で鬱蒼と茂る周りをかいくぐり、一番下まで降りると、そこには。
「・・・先生・・・」
見慣れた黒く光る固まり。
目の前には、帽子を目深に被る、初老の紳士が一人。
「藤木君、幸花お嬢様。お乗りなさい」
運転手が急いで降りて、後部座席のドアを開ける。
幸花は慣れたように、会釈をしてそのまま乗り込んでいく。
「あの。・・・先生」
「ここからお屋敷まで歩かせていたら、日が暮れてしまうだろう」
ぶっきらぼうに吐き捨てて、牧は再び助手席へと戻った。
壮介は胸の奥に温かい何かを感じていた。
「・・・そうすべきだと、・・・思ってくれたのですね」
壮介はただ静かにそう呟いて、運転手が待つ後部座席へと乗り込んだ。
「・・・歩いていきますが・・・大丈夫ですか?」
恐る恐る尋ねる藤木に、幸花は、少しはにかんで答えた。
「えぇ。私を誰だと思っているのですか?」
「・・・そうでしたね」
そんな会話を交わしながら、
草で鬱蒼と茂る周りをかいくぐり、一番下まで降りると、そこには。
「・・・先生・・・」
見慣れた黒く光る固まり。
目の前には、帽子を目深に被る、初老の紳士が一人。
「藤木君、幸花お嬢様。お乗りなさい」
運転手が急いで降りて、後部座席のドアを開ける。
幸花は慣れたように、会釈をしてそのまま乗り込んでいく。
「あの。・・・先生」
「ここからお屋敷まで歩かせていたら、日が暮れてしまうだろう」
ぶっきらぼうに吐き捨てて、牧は再び助手席へと戻った。
壮介は胸の奥に温かい何かを感じていた。
「・・・そうすべきだと、・・・思ってくれたのですね」
壮介はただ静かにそう呟いて、運転手が待つ後部座席へと乗り込んだ。