雨音色
そこは、豪華絢爛という言葉がそのままあてはまるような部屋だった。


大きくてふかふかのソファに、頭上にはまばゆいシャンデリア。


あちこちに西洋の絵画や像が飾られている。


いつか見た、西洋のお城の一室かと、彼らは錯覚しそうになっていた。


「・・・お待たせしました」


その声に、2人は一斉に立ち上がる。


遅れるようにゆっくりと立ち上がるのは、幸花だけに出来ることだった。


威厳のある声に、壮介の背筋が正される。


ドアから入ってきたのは、以前食事した人間と同じとは思えないような厳しい顔をした、


ここの屋敷の主であり、幸花の父であり、


そして、これから壮介が戦わなければならない相手だった。


「腰をかけてください」


「「失礼します」」


壮介と牧が、2人並んで1つのソファに腰掛ける。


隣に置かれた1人用のソファには、幸花が座っている。


そして、2人の真向かいに置かれた広いソファには、山内家当主がいた。


「・・・2つ、言わなければならないことがあります」


口火を切ったのは、もちろん当主であった。
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