雨音色
「君ももう気が付いているはずだ。


君が幸花と結婚するということは、山内家を担うことを意味することを」


山内家。


その名前だけでも、人々はきっと目を丸くさせるであろう。


日本でも知らない人はいないその名前を継ぐこと。


それはとても重く、一人では潰されてしまうかもしれない程の重責だった。


「・・・はい」


「君では、支えきれない。・・・分かるね、この意味」


「・・・」


壮介はうつむいたまま、ただじ、と床を見つめていた。


そしてその瞼を閉じ、しばらくの沈黙の後、彼はゆっくりと口を開く。


「・・・はい。理解できております、その意味を」
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