雨音色
「お嬢様。入っても宜しいでしょうか」


タマがノックをする。


しかし、返事は無い。


「・・・お嬢様」


ドアノブに手をかけ、ゆっくり回す。


ぎぃ、と軋む音と同時に扉が開く。


「お嬢様・・・?」


部屋は昼とは思えないくらいの暗さだった。


ベッドに顔をうずめる姿が見える。


彼女はそっとその隣に腰掛けた。


「幸花お嬢様・・・」


「・・・」


彼女が顔をあげた。


大きな目は、開けられないくらいに真っ赤に腫れていた。


頬も鼻も赤くなっている。


タマが彼女の髪をゆっくりとなで始めた。
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