記憶のカケラ
-No.1- 約束してよ
夢を見た
今日ね夢を見たの。
貴方が遠くにいっちゃう夢だよ?
私はバカだから、それをどうすることもできなくて。
ただただ泣き崩れて叫んでた。
もしかしたら、そんな自分が嫌で。
目覚めたのかな?
季節は春。
高校に入学して既に1ヶ月が経った。
「リナー!」
私は時間に余裕で校門を抜け、前の方で歩いている友達のリナを見つけて走り出す。
「リナ、おはよっ」
「あ、ユキ!ねぇ訊いた、訊いた!?」
明らかに挨拶を無視したのはいいとして
「何を?」
「今日、転校生来るらしいよ!しかも、あたしらのクラスに!」
「え、2組に?また超カッコイイとか云って惚れるんじゃないの?」
「アタリ!よくわかったね」
「リナはくるくる彼氏変わるじゃん」
「えー、そんなことないよぉ」
「あ、遅刻しちゃうよ!」
「嘘付け、あたし余裕に出たしっ」
「マジマジ。ほら、校門閉めようとしてるしさっ」
「ちょっ、待ってよ!」
走り去る私たちを貴方はこの時も眺めていたのを私は知っていたよ