光~HIKARI~
パパが静かに口を開いた。
何も言わない、ママに腹がたった。
思わず言ってしまった。
「ママは逃げてばかりだし、自分の事ばかり。
何考えてるかさっぱりわからないし、人のせいにしすぎ。 いい加減にしてよ!」
いつの間にか口調は怒鳴り声に変わっていた。
「奏ちゃんはママを憎んでるんでしょ?憎めばいいのよ。ママがいなくなればいいんでしょ?別れればいいんでしょ?」
そのあと、涙が溢れて、息ができなくなった。
苦しくて苦しくてどうしようもなかった。
でも、誰も心配なんかしてくれなかったし、気づきもしなかった。
奏は、確かにママを憎んでいた。それは変わりない事だった。いつしか母親はいないと思っていたから。
そして、ママとは呼ばなくなっていった。
そのあと、どういう話し合いになったかは覚えていない。
奏は、部屋に閉じ籠った。息が苦しくて苦しくてたまらなかったから、ベッドに横になった。
そこにパパが来た。
「奏、奏の気持ちはパパわかったから。パパの事思ってくれてありがとう。」
「奏、あの人に言った事、絶対に謝らないし、間違ってると思わないから。」
「奏、素直な気持ちでいなさい。」