光～HIKARI～

５月

「奏はゴールデンウィークは北海道に帰るの！？」

同じクラスの亜美が言った。


「んー…帰らないかなぁ。東京に残るよ！」


「あー！卓と過ごすんだぁ？」
からかうように奏に言う亜美。


「一応その予定だよ。
奏、一人暮らし始めたばからだから、東京にいるの。」
「そっかぁ！卓と楽しんでね！じゃあね！」

そんな会話をして、亜美とは別れた。


卓とは、奏の彼氏でもう1年付き合っている。
水野 卓巳。 奏とは東京で知り合ったものの、同じ北海道出身ともあって、仲良くなって付き合い出したのだ。
北海道の実家でも車で十五分も走れば着く距離。
長期休みになればほぼ毎日会っていた。

奏と卓は、週末になれば一緒にすごし、奏の手料理を食べて、プレステで遊んだりしていた。
特別な事はしなくても、よかった。


卓は奏が初めての彼女だったから、とても優しくしてくれて、わからないながらも奏を大事にしていた。 それが奏は嬉しかったし、卓の笑顔を大事に思っていた。
そんな卓がいたから、ゴールデンウィークは東京にいることにした。


「奏、俺のうちに泊まりにおいで。」

「うん！
どこ行こうか？楽しみだね。」