光~HIKARI~


何度か会ったりしているうちに、惹かれていた。

そのうち、どっちからでもなく、二人は付き合いだした。




でも、奏の心は満たされないでいた。

自分の生きている意味はわからなかったし、考えてもわかるはずもなかった。

部屋で一人でいると、孤独でどうしようもなかった。
死んでいるみたい・・・
本当に生きているのか、わからなかった。
薬を飲んでいるのに、よくなっている感じもない。

目の前にあった、ハサミに目を落とす。
ハサミを手に取り、自分の腕に押し当てる。
痛みなんて感じない。
ただ、流れる赤い血を見て、ホッと肩をなでおろす。


毎日毎日、腕をきりつけた。
家にこもりがちな奏は、自分を傷つけることでしか、安心を得られなかった。
それでもよくて、ひたすら毎日きっていた。



ハサミでは、物足りなくなっていた。

かみそりや、包丁、手当たり次第あさった。

そんな毎日、たまに学校に行けば、みんなの視線が気になる。

前まで平気だった電車も、息苦しくて、途中下車する。
そんな、自分を周りの人がどう思うか・・・そう考えると人が怖くてたまらなかった。

そして、電車に乗るたび、発作が起きる。

本当に薬は効いているの??
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