心の中の宝物
「あのな、真剣に聞いてほしい。」

私は静かにうなずく。

いつもおちゃらけていたシンはすごく真剣な顔をしている。

他のみんなもそうだった。


「桜は最初俺達のことを怖いと思った?」

え?

そりゃー

最初はね。

「うん。あっでも今は全然そうは思わないよ。」

私は激しく弁解した。

「いいってそんな否定しなくても・・・俺らもたまに悪いと思うしな。じゃあ最初に会った亜美はどうだった?」

そんな事言われても・・・

私は亜美との出会いを思い出した。

でもあの時は泣いていてそれどころじゃなかったしな。

「金髪にはビックリした。」

「そっか。」

でもなんでそんな事を聞くの?

「あのな、亜美はお前と会う前すごく荒れてたんだ。そりゃもー俺たち以上でさ。」



シンの話によると亜美が変わったのは中学に入った頃だったそうだ。

亜美は理由を話さなかったが何らかの理由で悪くなって言ったらしい。

初めてここであったときはとてもじゃないけど声を掛けれなかった。

けどだんだん打ち解けて仲良くなった。

でも怖いのは変わらなかったそうだ。

「だから俺らも人目置いてたんだ。でも亜美がさ、桜ちんを連れてきたときの表情すごく柔らかくなってて俺らすげーびっくりした。何があったんだ?ってすごく思ったしな?」

「そうそう。本当に会わなかった三日に何があったの?って感じだったし。」

「でもちょっと嬉しかったよな。」

「うん。うちらも分かり合えるかな?とか思ったし。」


私は黙ったみんなの話を聞いていた。


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