心の中の宝物

「ここはこうであるからー・・・」


入りづらいな。

―がらっ―


私は後ろのドアから静かに入った。

みんなの視線がいっきに集中する。


「夢梨大丈夫か?」

「あ、はい。でも帰ります。」

「そうか。早く治せよ。じゃあ他の人は授業に集中するように。」


私は後ろから鞄を取って自分の席に行く。


「桜、大丈夫?」

「うん。ありがとうね。」

「はよ治せよ。」

「武、おはよう。」

「なんだよ。それ・・・」

桜たちは静かに笑う。


「じゃあね。」


そう言ってドアに向かう時コウちゃんと目があった。

口パクで『ありがとう』って言った。


わかったかな?


教室から広い廊下に出て私は念のためコウちゃんにメールした。

送信:コウちゃん
授業中にごめんね。
今日は保健室まで連れてってくれてありがとう♪
また明日~

ピロリロリン♪

「はやっ!」

受信:コウちゃん
桜が熱出すって久し振りだな。
今日はゆっくり休むんだよ。
またな☆

コウちゃん授業中なのに嬉しい♪


みんなに心配かけたくないし

早く治さなきゃ。


< 16 / 187 >

この作品をシェア

pagetop