心の中の宝物
長い間抱き合ってお母さんが言った。
「洋介さん。もう一回結婚しませんか?」
洋介はお父さんの名前。
え?
「でも、京子仕事やめたくないんじゃ・・・」
京子はお母さんの名前。
前まで『あなた』『母さん』だったのに・・・
私は悲しくなった。
でもそれよりもお母さんが言った提案に驚きの方がでかいかな。
「やめますよ。桜の話聞いてて私全然お母さんらしいことできなかったもの。桜と仕事なら桜の方が大事ですもの。」
「お母さん・・・」
「わかった。俺もできるだけ家に帰るようにするよ。」
「お父さん・・・」
お父さんとお母さんは嬉しい約束をしてくれた。
「桜。お母さんが仕事やめるまで一ヶ月はかかるかも知れない。でも絶対にやめるから、家に帰ってまた三人で暮らしましょう?」
「桜。帰ってきてくれるか?」
「うん。うん。」
私は何回も頷いた。