月華に散りゆく者達
「手加減無しだ歳三!」

 二人は広い庭に出て総司が言う       

「当たり前だ!」

 歳三が対抗心を燃やし言う 

「まぁ勝つのは俺だな」

 総司がけなすような感じで言う 

「行くぞ」

 そう言うと走り出す歳三   

「甘いな!」

 総司も走る 

「今日こそ勝つ!」

 飛び上がり刀を振り下ろす歳三  

「甘い!」

 そう言うと止まり刀でガードし弾き飛ばす     

「流石に簡単には行かないか!」

 そう言いながら受身を取り着地する歳三

「甘いぜ歳三!」

 総司が得意げに言う

「どっちも頑張れ!」

 総司が応援する

「何してるんだ?」

 斉藤が現れて総司に聞く 

「斎藤さん!おはようございます
 僕のお父さんが作った斬られても
 痛くないし傷も付かない安全な刀で
 戦ってるんですよ!実戦に向けて」

 総司が説明する

「なるほど、君の時代で言うおもちゃと
 言う奴で遊んでる訳か?」

 斉藤が言う 

「えっ?なぜその言葉を?まぁいいや、あれ斬った感触、手応えが本物で
 本物で斬るのと同じなんです!
 固さも重さも、だから練習用の刀です」

 総司が斉藤に続けて説明する

「歳三に聞いたんだ、君の時代はやっぱり凄いな」

 斉藤が感心する

「凄いのは時代じゃなくて僕の親父ですよ
 こんなの作るのは親父位ですよ」

 総司が誇らしげに言う

「君の父親は凄い人だな」

 斉藤が感心する


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