気まぐれな恋愛
気まぐれ
「じゃあ、ね、モテ男君」
「…っ待てよ」
立ち去ろうとする
何の未練もなさ気な背中に
無意識に声をかけていた。
「何?」
「付き合え」
「え…何言って…」
ほんと、俺なにしてんだろ。
でもまぁたまには、ね。
しばらく俺を見ていた彼女が
含み笑いをしながら、
わざとらしいほど控え目に
上目遣いでちょっと甘えた感じで呟いた。
「私のために死ねる…?」
俺は真っ赤な顔で小さく返す
「君のためなら死んでもいい」
そしたら君は、
「…へぇ、じゃあ、死ねよ」
見られてた、という事か。
俺より、数倍上手な彼女。
気まぐれな俺が恋に堕ちたのは
言うまでもない。