濡れた体温ごと奪って-Ⅱ-
目の前で紗耶が腹から血を流している…。
紗耶は腹へ視線を向けた瞬間、その場で崩れ落ち様に倒れた。
…紗…耶…。
嘘だろ…紗耶…?
俺は紗耶へと駆け寄り、紗耶の上半身を起こし必死に名前を呼ぶ。
紗耶は指を動かし反応を見せるものの、目を閉じたまま開こうとしない。
おい…紗耶…。
頼む…目を開けてくれ…。
「竜崎っ!!救急隊が外に到着した!!早く行けっ!!」
紗耶の呼吸は段々と弱くなって行き、体が冷たくなって行く。
俺はタンカーを待たずして紗耶を抱き上げ救急車へと連れ出した。