濡れた体温ごと奪って-Ⅱ-
そう言えばママもパパとのデートの時大変だったって言ってたっけ…。
きっと、今みたいにこんな感じだったんだね。
「翔ちゃん、お待たせ」
私は満面の笑みを浮かべて二人の間へ入った。
女の人は驚いた顔をするも、すぐに視線を翔ちゃんへと向けて微笑む。
「これ、私の連絡先だから気が向いたら電話くれると嬉しいわ。じゃあね」
女の人は、小さな紙切れを無理矢理翔ちゃんの手へ渡し去って行った。