バベル


「凛さん。どうして真船のことを戸倉さんや井坂さんに話さないんですか?」



あの2人に話せば新しい何かがわかるかもしれないのに…。


「あの2人に話せば、いろんな方向性が見えてくるけど、ここにいるみんなに話すことになる。そうしたら笹野に近づいている優奈ちゃんが危険に曝されるかもしれないでしょ?」


確かに密かに結花さんをマークしている私たちには危険かもしれない。


しかしこんな密室で本当にバレないのだろうか。


真也にもこのこと黙ってないといけないのだろうか。
そうだとしたら辛い。

真也にはいつだって正直に話してきた。それがわたしたちのルールだったから。

真也もどんなことも話してくれた。


仕事のこと以外は。
秘書だから仕事の件で話せることはない。

それでも可能な限り話してくれている。


なんでこんな思いしなきゃだめなのだろうか。

スピーカーの女はなぜ私たちを選んだのだろうか?


考えてもどうにもならないことを考えてしまった。
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