バベル


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いつのまにか眠っていたらしい。
真也の背広があたしの上半身に掛けられていた。

うっすらと目を開けて見ると真也がベストとシャツで寒そうに隣に座っていた。


「ん、おはよ…。」

「起きた?大丈夫?寒くない?」

「真也こそ平気?あたしは大丈夫だから。」

と真也に上着を返した。

「真也、熱あるよ。」

幸いにもスピーカーの女はカバンも携帯も奪うことなく、意外にも密室以外は自由なのだ。

あたしは鞄からポーチを取出し風邪薬を真也に飲ませた。


前嶋は脳外科だ。だけど…。

「前嶋さん、ちょっといいですか?」

前嶋は不思議そうだったが構わず真也のところへ連れて行った。

「熱があるみたいです。前嶋さんが脳外科だってことはわかってます。でも何かアドバイスしてほしくて。薬は飲ませました。温めるにもショールくらいしか…。」

「わかった。ちょっと待ってて。」


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