バベル


真船は決して報われることのない
抵抗を始めた。

それはかの有名な作家が描いた鼠の描写にぴったりとリンクする。

先頭の前嶋が
真船に目隠しを施す。

急に闇に葬られたため、恐怖が増したのだろう。外れるはずがない、と分かっているだろうが、本能からなのか激しく抵抗する。


その姿は必死に生きる人間の美しさと残酷さにも見えたのだ。


今の今まで強がっていた凛も、徐々に顔色が悪くなっていた。

凪は強く凛の手を握る。
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